Staging Tool

舞台進行スタッフのいろは / 第一部

はじめに

こんにちは。

私は、もう30年近く舞台のお仕事を続けてきました。

舞台の世界というと、

「専門的で難しそう」

「経験がないと入れなさそう」

「特別な人だけができる仕事」

そんなふうに思う人もいるかもしれません。

でも、実は舞台の世界は、思っているよりずっと入口が広くて、その先はとても奥深いものなんです。

舞台には、本当にいろいろな仕事があります。

人と話すのが得意な人。

歌やダンスが好きな人。

道具を作るのが好きな人。

細かいことによく気づく人。

機械が好きな人。

絵を描くのが好きな人。

音楽が好きな人。

服が好きな人。

誰かを支えるのが好きな人。

じっと見て、「あれ?」と変化に気づける人。

そして、客席で観てくれる人も。

舞台は、つくる人たちだけでは完成しません。

稽古をして、舞台をつくって、照明や音を入れて、どれだけ準備をしても、まだ最後のひとつが足りません。

そこにお客さんが入って、観てもらって、はじめて舞台作品は完成します。

だから、客席で観ている人も、舞台をつくっている大切な参加者のひとりです。

出演する人も、裏で支える人も、観る人も。

いろいろな「好き」や「得意」、そしていろいろな立場の人が集まって、みんなでひとつの舞台作品ができあがります。

だから、「自分にも何かできるかな?」と思っている人にも、ぜひ舞台のことを知ってほしい。

中学生でも、高校生でも。

これから仕事を探す人でも。

演劇部の人でも。

学校の文化祭で舞台をつくる人でも。

たまたま舞台に興味を持った人でも。

地域の演劇活動に参加してみようかな、と思っている人でも。

なるべく難しい言葉を使わずに、「舞台の仕事って、こんな感じなんだ」と分かるものを書いてみようと思いました。

舞台には専門用語もたくさんあります。

分からない言葉が出てきたときは、別に作っている「舞台スタッフ用語辞典」でも、ひとつずつ説明していきます。

このシリーズで私が主にお話しするのは、舞台進行や演出部、大道具、舞台機構など、私自身が実際に経験してきた仕事のことです。

小道具、特効、映像、美術などについても、これまで自分が関わってきた範囲でお話ししていきます。

一方で、照明や音響について、私は専門家ではありません。

舞台進行として、「照明さんや音響さんとどう関わるのか」「一緒にどう舞台をつくっているのか」というお話はできます。

でも、照明や音響そのものの専門技術については、それぞれのプロにお任せしたいと思っています。

知らないことを、知っているふりはしません。

その代わり、現場では当たり前になっていて、意外と誰も教えてくれないこと。

私自身が仕事をしてきて、「これは最初に知っておいた方がいいな」と思ったこと。

そんなものを、ひとつずつ書いていきます。

舞台の仕事に少しでも興味がある人、はじめたばかりの人へ。

最初の一歩になればうれしいです。