客席からは見えない、舞台の左右にある場所。
そこが、舞台袖です。
出演者が登場を待ったり、スタッフが大道具や小道具を準備したり、次の転換を待ったりします。
初めて入ると、意外と物が多く、暗く、どこに立てばよいのか分からないかもしれません。
今回は、舞台袖へ入ったら最初に何を見ればいいのかを考えてみます。
1.まず、ぐるっと見る
いきなり作業を始める前に、まず周りを見てみます。
舞台はどちら?
客席はどちら?
通路はどこ?
出演者はどこを通る?
大道具はどこにある?
自分はどこに立てば邪魔にならない?
全部覚える必要はありません。
まずは、地図を眺めるような気持ちで十分です。
2.上手と下手を知る
舞台では、客席から舞台を見て右側を上手(かみて)、左側を下手(しもて)と呼びます。
舞台の上に立つと左右が逆になるので、最初は少し混乱します。
「今いるのは上手袖?」
「下手へ行くにはどちら?」
これを確認しておくだけでも、かなり動きやすくなります。
3.人の道を見る
舞台袖には、人がよく通る道があります。
出演者が出入りする道。
スタッフが移動する道。
衣裳替えへ向かう道。
まずは、人が繰り返し通っている場所を見てください。
その道の真ん中に立たない。
荷物を置かない。
道を空けておくことも、舞台袖の大切な仕事のひとつです。
4.大きな物の道は、もっと広く見る
大道具や台車は、人よりずっと大きな場所を使います。
曲がるときには、さらに広い場所が必要です。
今は何も通っていなくても、次の転換で大きな物が来るかもしれません。
近くの先輩が、どのあたりを空けているのかを見ると参考になります。
5.上も見る
舞台は、床だけでできているわけではありません。
頭の上にも、幕、大道具、照明、スピーカーなど、いろいろな物があります。
何かが動くときには、周囲へ知らせる声が掛かることがあります。
声が聞こえたら、「何がどこで動くのかな」と一度まわりを見る癖をつけてみてください。
6.足元も見る
暗い舞台袖では、足元も大切です。
段差。
ケーブル。
床の印。
小さな物。
足元灯や蓄光の印が使われていることもあります。
走るより、まず安全に歩けること。
慣れるまでは、それで十分です。
7.暗くなったら、見え方が変わる
明るいときには分かっていた場所も、本番の明かりになると急に見えにくくなることがあります。
場当たりや稽古のときに、暗い状態も実際に見ておくと安心です。
「ここ、暗くなると見えないな」
と思ったら、先輩へ聞いてみましょう。
8.「ちょっと気になる」でいいから伝えてみる
危険を探し回る必要はありません。
ただ、
「ここ、通りにくいな」
「これ、倒れそうに見えるな」
「さっきと違う気がするな」
と感じたら、ひとこと聞いてみてください。
「これ、大丈夫ですか?」
自分で勝手に直すより、まず伝える。
それで十分です。
9.人の動きを見る
舞台袖にいる人は、何となく動いているわけではありません。
次の出演者を待つ人。
大道具を準備する人。
小道具を並べる人。
インカムを聞いている人。
しばらく見ていると、同じ人が同じような場所を行き来していることに気づきます。
それが、その人の仕事の流れです。
10.自分の居場所を聞く
どこに立てばいいか分からなければ、遠慮せず聞いてください。
「私は、どこにいればいいですか?」
これだけでいいんです。
舞台袖では、「邪魔にならない場所」と「必要なときにすぐ動ける場所」の両方が大切です。
11.舞台袖は、ただ待っている場所ではない
舞台袖では、待つ時間があります。
でも、ぼんやり待っているわけではありません。
舞台を見る。
次の準備を見る。
人の動きを見る。
声を聞く。
必要な瞬間に動けるように待つ。
それも仕事です。
12.全部覚えなくていい
初めての袖で、全部覚えるのは無理です。
今日は、人の通り道が分かった。
明日は、大道具の置き場所が少し分かった。
その次は、暗くなったときの景色を覚えた。
そうやって、自分の中に少しずつ舞台袖の地図ができていきます。
おわりに
舞台袖は、客席からは見えません。
でも、出演者、スタッフ、大道具、小道具、たくさんのものが行き交う、とても大切な場所です。
最初は、人の道、物の道、上、足元、そして周りの声。
そこから見てみてください。
安全のことを知るのは、怖がるためではありません。
みんなが安心して、思いきり舞台をつくるためです。
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