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舞台進行スタッフのいろは / 第一部

第3回|舞台では、どうして「右・左」ではなく「上手・下手」と言うの?

舞台の現場へ入ると、すぐに出てくる言葉があります。

上手(かみて)と、下手(しもて)です。

「右と左じゃダメなの?」

最初は、そう思うかもしれません。

でも舞台では、この二つの言葉がとても便利です。

1.客席から見て右が上手、左が下手

まず基本です。

客席から舞台を見て、

右側が上手。

左側が下手。

舞台の上に立つ人から見ると左右が反対になるので、最初は少し混乱しやすいところです。

2.「右」「左」は、見る向きで変わる

客席にいる人の右。

舞台にいる人の右。

向かい合えば、右と左は反対になります。

だから、

「そっちの右!」

だけでは、誰から見た右なのか分からなくなることがあります。

上手・下手なら、どちらを向いていても舞台の同じ側を指せます。

3.舞台全体で共有できる「場所の名前」

「上手の扉」

「下手袖」

「上手奥」

と言えば、同じ舞台を知っている人同士で場所を共有しやすくなります。

つまり、上手・下手は、舞台の中の共通の座標のようなものです。

4.「上手袖」「下手袖」

舞台の左右にある袖も、

上手側なら上手袖。

下手側なら下手袖。

「上手袖に小道具を置きます」

「下手袖から出演者が出ます」

というように使います。

5.前・奥・センターも一緒に使う

舞台では、上手・下手だけでは場所を伝えきれません。

客席に近い側を「前」や「舞台前方」。

舞台の奥側を「奥」や「舞台奥」。

真ん中を「センター」。

などと呼ぶことがあります。

「上手奥」

「下手前」

「センター奥」

のように組み合わせると、かなり細かく場所を伝えられます。

呼び方には現場差があるので、その現場で使っている言い方を覚えていけば十分です。

6.図面を見るときにも役に立つ

舞台の図面には、たくさんの物が書かれています。

大道具。

照明。

音響。

舞台機構。

上手・下手が分かっていると、図面の場所と実際の舞台を結びつけやすくなります。

7.安全のためにも、場所をはっきり伝える

何かが動く。

人が待っている。

物を置く。

そんなとき、場所の認識がずれると困ります。

「どこ?」を短く正確に共有できることは、仕事のしやすさだけでなく、安全にもつながります。

8.歴史的な由来は、また別のお話

「どうして上手・下手という名前になったの?」

という歴史的な由来には、いくつかの説明があります。

この回でまず覚えてほしいのは、

客席から見て右が上手、左が下手。

そして、みんなが同じ場所を同じ言葉で呼ぶために使っている、ということです。

おわりに

上手・下手は、最初は少しややこしく感じるかもしれません。

でも役割はシンプルです。

みんなが同じ場所を、同じ言葉で呼ぶため。

間違えそうになったら、

「こちらが上手でしたっけ?」

と確認しながら、少しずつ身体で覚えていけば大丈夫です。