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舞台進行スタッフのいろは / 第一部

第6回|仕込みって、いったい何をしているの?

「明日は仕込みです」

舞台の仕事を始めると、すぐに聞く言葉です。

仕込みとは、公演ができるように、劇場へ大道具や機材を持ち込み、舞台をつくっていく時間です。

何もない劇場に、少しずつ作品の世界が立ち上がっていきます。

1.朝の舞台は、まだ「劇場」

仕込みの朝。

舞台には、まだ作品の世界がありません。

劇場の床。

幕。

舞台設備。

そこへ、いろいろな人と物が入ってきます。

2.最初は「搬入」から

大道具。

照明機材。

音響機材。

映像機材。

小道具。

ケース。

必要なものを劇場へ運び入れます。

搬入口から入ることもあれば、施設の条件に合わせて別の方法を使うこともあります。

3.劇場が、大きな共同作業場になる

搬入が始まると、いろいろなセクションが同時に動きます。

だから、仕込みでは「自分の仕事だけ」を見ていると、うまくいかないことがあります。

どこで何をしているのか。

今、どの場所を使っているのか。

全体の流れを見ながら進めます。

4.作業には順番がある

頭の上で吊り込みをしているところへ、床いっぱいに大道具を立ててしまったら、上の作業ができなくなるかもしれません。

だから、舞台全体で作業の順番を考えます。

必ず「上から先」と決まっているわけではありません。

作品と劇場に合わせて、その日の手順を決めます。

5.大道具が立ち上がってくる

壁。

床。

階段。

扉。

大きな舞台装置が、少しずつ組み上がります。

何もなかった舞台が、だんだん別の場所に見えてきます。

6.その上では、照明も舞台をつくっている

照明機材を吊る。

設置する。

電源や制御を準備する。

そして、実際に光を出して、どこをどう見せるのか調整していきます。

私は照明の専門家ではありませんが、舞台進行から見ていても、照明が入ると舞台の景色が一気に変わります。

7.音響も、見えない舞台をつくる

スピーカー。

マイク。

回線。

再生機器。

音は目に見えませんが、舞台の空気を大きく変えます。

仕込みの中で、必要な機材を設置し、実際に音を出して確認していきます。

8.映像も、今では大切な舞台の一部

プロジェクター。

スクリーン。

LEDディスプレイやLEDパネル。

カメラ。

作品によって、映像の使い方もさまざまです。

照明や大道具、音響などと位置やタイミングを合わせながら準備します。

9.「タッパを合わせる」って何?

舞台では、高さのことをタッパと呼ぶことがあります。

吊り物や幕、大道具などの高さを、作品に合うように確認します。

他の物との関係もあるので、ひとつだけ見て決めるとは限りません。

10.「各場飾り」を確認することもある

作品によっては、場面ごとに大道具や飾りの位置が変わります。

それぞれの場面で、どの位置に何があるのかを確認していきます。

呼び方ややり方は現場によって違います。

11.光を合わせ、音を合わせ、映像を合わせる

大道具ができただけでは、まだ完成ではありません。

照明を合わせる。

音を合わせる。

映像を合わせる。

それぞれのセクションが、自分の仕事を作品へつないでいきます。

12.そして、「動かしてみる」

本番で動く大道具。

幕。

舞台機構。

実際に動かしてみます。

ちゃんと動く?

人とぶつからない?

通り道はある?

動かして初めて分かることがあります。

13.「転換」は、舞台が姿を変える時間

場面が変わるとき、大道具を動かしたり、幕を変えたりします。

これを転換と呼びます。

本番前に、スタッフだけで転換の練習をすることもあります。

14.最初から速く動かさなくていい

本番では短い時間で行う転換でも、最初から本番の速さでやるとは限りません。

位置を確認する。

人の動きを確認する。

安全にできる方法を確認する。

それができてから、必要な速さへ近づけていきます。

15.仕込みでは、「待つ」ことも仕事になる

今は上の作業中だから待つ。

別のセクションが場所を使っているから待つ。

次の指示を待つ。

ここでいう「待つ」は、何もしないという意味ではありません。

その間に、次の作業を見る。

道を空ける。

必要なものを確認する。

理由のある待ち時間も、仕込みの一部です。

16.「自分の仕事だけ」では舞台はできない

大道具だけでも。

照明だけでも。

音響だけでも。

舞台は完成しません。

自分の仕事をしながら、他の人が仕事をできるように場所や時間を譲り合う。

仕込みは、大きな共同作業です。

17.完成していく舞台を見るのは、やっぱり楽しい

朝は、ただの劇場だった場所。

そこに壁が立つ。

光が入る。

音が入る。

映像が入り、人が動く。

少しずつ作品の世界になっていきます。

仕込みは大変な時間でもありますが、この変化は舞台の仕事の面白さのひとつだと思います。

おわりに

仕込みとは、単に機材を置く時間ではありません。

公演ができるように、みんなで舞台をつくる時間です。

次に劇場へ入る機会があったら、「今、この場所は何から何へ変わっているんだろう?」と見てみてください。