初めて舞台の仕込みに入ると、あちこちから短い声が飛んできます。
「はい!」
「いきます!」
「待って!」
「ストップ!」
「上手、いいです!」
普段の会話より、ずいぶん短く感じるかもしれません。
でも、短いのには理由があります。
1.短いのは、冷たいからじゃない
舞台では、たくさんの人が同時に動いています。
音もします。
距離もあります。
長い説明より、必要なことを短くはっきり伝えた方が分かりやすい場面があります。
2.返事は「聞こえた」が伝わるように
誰かに声を掛けられたら、その現場のやり方に合わせて返事をします。
「はい」
「了解」
など、使う言葉は現場によって違います。
大切なのは、相手に「聞こえている」「内容を受け取った」と分かることです。
内容が分からなければ、分かったふりをせず確認します。
3.大事なことは、繰り返して確認してもいい
場所、番号、順番など、間違えると困ることは、もう一度言って確認することがあります。
「下手奥ですね」
「25番ですね」
というように、短く確認します。
4.聞こえなかったら、聞き返していい
周りがうるさい。
声が重なった。
遠くて聞こえなかった。
舞台ではよくあります。
「すみません、もう一度お願いします」
で大丈夫です。
5.「誰に言っているか」も大切
人が多いところでは、相手の名前や場所、担当を先に呼ぶと分かりやすくなります。
「上手さん」
「○○さん」
など、現場に合った呼び方を使います。
6.みんなへ知らせる声もある
吊物や大きな大道具など、周囲に知ってほしい物が動くときには、その場全体へ知らせる声を出すことがあります。
言い方は現場ごとに違います。
大切なのは、必要な人へ、動く前に情報が届くことです。
7.「ガナリ」と呼ばれる連絡設備もある
劇場によっては、舞台上や舞台周辺へ業務連絡を届けるためのマイクや連絡設備があります。
現場では、こうしたものを「ガナリ」と呼ぶことがあります。
何をどこまでガナリで伝えるかは、仕込みや稽古の進み方、作品、劇場によって変わります。
8.大きな声なら何でもいい、ではない
大切なのは、声量ではなく届くことです。
近くの人へ必要以上の大声を出す必要はありません。
反対に、広い舞台へ知らせるなら、しっかり届く方法を使います。
9.止めるための言葉は、短くはっきり
危ないと思ったときには、まず止める必要があります。
現場で決められた停止の言葉を、短くはっきり使います。
詳しい説明は、そのあとで構いません。
10.新人でも、安全に関わることは伝えていい
「自分は新人だから」と黙る必要はありません。
本当に気になることがあれば、声を出して構いません。
確認した結果、問題がなかったなら、それもひとつ学べます。
11.「OK」は、何がOKなのか分かるように
「OKです」だけでは分からないときがあります。
「上手OKです」
「小道具OKです」
など、少しだけ情報を足すと伝わりやすくなります。
12.「まだです」も大切な返事
準備できていなければ、無理に「大丈夫です」と言わなくていいんです。
「まだです」
「確認中です」
正しい状態が伝わる方が大切です。
13.インカムでは、さらに短くなることがある
複数の人が同じ回線を使うインカムでは、長く話すと他の連絡が入りにくくなることがあります。
必要な内容を短く伝えることが大切になります。
14.返事にもタイミングがある
大切な指示の途中へ、別の話を重ねない。
少し待てる話なら待つ。
でも、安全に関わることなら待たない。
この違いも、少しずつ覚えていきます。
15.舞台の声には「キュー」もある
何かを始めるきっかけを、キューと呼びます。
照明、音響、映像、舞台機構など、いろいろなものにキューがあります。
16.言葉は、現場によって違う
同じ意味でも、会社、劇場、作品によって使う言葉が違うことがあります。
まずは、その現場の言い方を聞いてみましょう。
17.短い声の中にも、やさしさは入れられる
短いことと、乱暴なことは別です。
相手を見て言う。
返事をする。
終わったら「ありがとう」と言う。
忙しいときほど、小さなやり取りが大切です。
18.いい声は、「ちゃんと伝わる声」
必要な相手に。
必要な内容を。
必要なタイミングで。
分かるように伝える。
そして、相手の返事を聞く。
それが、舞台での「いい声」だと思います。
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