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舞台進行スタッフのいろは / 第一部

第14回|本番中、舞台袖では何をしているの?

開演しました。

舞台の上では、物語が進んでいます。

そのすぐ横、客席から見えない舞台袖では、何が起きているのでしょう?

1.本番が始まると、舞台袖の空気が変わる

仕込み中とは違い、必要のない声や音をなるべく出さなくなります。

舞台袖そのものが、本番の中に入ります。

2.まず、舞台を見ている

今どの場面?

次に誰が出る?

次のキューは?

何かいつもと違わない?

本番中は、見ている時間がたくさんあります。

3.何もしていないように見えても、仕事をしている

次のキューを待つ。

出演者を待つ。

大道具を動かすタイミングを待つ。

必要な瞬間に動けるように待つ。

それも仕事です。

4.出演者を送り出す

出演者がそろっている?

必要な物を持っている?

登場する場所は空いている?

作品によっては、舞台進行側が出演の合図を送ることもあります。

5.帰ってくる出演者を迎える

退場したあと、着替え、小道具の受け渡し、次の登場などが続くことがあります。

「退場したから終わり」ではありません。

6.小道具を渡す、受け取る

決められた場所、決められた流れで受け渡します。

暗い袖でも同じ場所にあることが大切です。

7.次のために戻す

使った物を回収したら、次に使える状態へ戻すことがあります。

本番中も、次の準備が進んでいます。

8.大道具の転換をする

客席からは数秒でも、舞台袖ではそのためにスタッフが待っています。

キューが来たら、決められた動きをします。

9.転換は、速ければいいわけではない

決められた時間の中で、安全に、静かに、正しい場所へ。

場当たりや転換稽古で練習したものを、落ち着いて行います。

10.出演者と大道具の道が重なることもある

出演者が退場する。

次の大道具が出る。

その横で別の出演者が待つ。

だから、動線を事前に確認してあります。

11.暗い中でも、場所を覚えている

段差、大道具、通路、自分の立ち位置。

明るいうちに覚えた自分の中の舞台の地図が、本番で役に立ちます。

12.インカムを聞いている

耳ではインカム。

目では舞台。

いろいろな情報をつなげて本番を見ます。

13.キューより少し前に、もう準備している

キューが来てから準備を始めるのではありません。

次の大道具、小道具、出演者を少し前から確認します。

14.「次は何?」がずっと続く

ひとつ終わったら、次の準備。

今を見ることと、少し先を見ることを繰り返します。

15.でも、先のことばかり見てもいけない

次を考えすぎて、今の舞台を見なくなると困ります。

予定表だけでなく、実際に起きていることを見ます。

16.「いつもと違う」に気づいたら

来るはずの人がいない。

物がない。

位置が違う。

変な音がする。

気づいたことを、そのままにしません。

17.小さなトラブルは、客席から見えないことも多い

裏側で静かに対応して、客席にはほとんど分からないこともあります。

それも舞台スタッフの仕事です。

18.「何としても続ける」が正解とは限らない

安全に続けられないなら、止めることもあります。

公演を守ることと、無理に続けることは同じではありません。

19.だから、本番中も周りを見る

自分のキューが遠くても、舞台は動いています。

自分の担当を確認しながら、周りも少し見ます。

20.舞台袖では、たくさんの小さな受け渡しがある

小道具。

出演者。

情報。

時間。

きっかけ。

小さな受け渡しがつながって、本番が進みます。

21.舞台上の二時間と、舞台袖の二時間

お客さんにとっては二時間の物語。

舞台袖では、準備、キュー、転換、次の準備が続きます。

同じ二時間を、違う場所から過ごしています。

22.そして、みんな同じ「今」を見ている

出演者、スタッフ、お客さん。

いる場所は違います。

でも、同じ舞台の同じ時間を過ごしています。

これが、生の舞台の面白さのひとつだと思います。